3-5 大学院教育
3-5-1 特別共同利用研究員
分子科学研究所は，分子科学に関する研究の中核として，共同利用に供するとともに，研究者の養成についても各 大学の要請に応じて，大学院における教育に協力し，学生の研究指導を行っている。また，特別共同利用研究員の受 入状況は以下の表で示すとおりであり，研究所のもつ独自の大学院制度（総合研究大学院大学）と調和のとれたもの となっている。
特別共同利用研究員（１９９１年度までは受託大学院生，１９９２年度から１９９６年度までは特別研究学生）受入状況.（年度別） 所 属
1977
〜 2003
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13
北海道大学 10 1 1
室蘭工業大学 2
東北大学 13
山形大学 6 1
茨城大学 1 1
筑波大学 2 1
宇都宮大学 4
群馬大学 1
埼玉大学 2
千葉大学 5
東京大学 31 2 4 3 3 1 1
東京工業大学 40 2 1
お茶の水女子大学 6
横浜国立大学 1 1 1
金沢大学 11
新潟大学 4 1 1
福井大学 10
信州大学 4 1 1
岐阜大学 2
静岡大学 2 2
名古屋大学 80 3 4 6 6 4 11 12 11
愛知教育大学 1
名古屋工業大学 15 2 2 1
豊橋技術科学大学 37 2 1
三重大学 7
京都大学 40 2 1 1 1 2 1 1
京都工芸繊維大学 6
大阪大学 26 1 2 2
神戸大学 5 1
奈良教育大学 1
奈良女子大学 4
島根大学 1
岡山大学 15 1
広島大学 37 1
山口大学 1
愛媛大学 8 1
高知大学 2
九州大学 45 2 1
佐賀大学 13
長崎大学 2
熊本大学 6
宮崎大学 6
琉球大学 1
北陸先端科学技術 大学院大学
4 2 1
首都大学東京 17 2 1
名古屋市立大学 4 9 8 5 4 4 4 2 3 2
大阪市立大学 4
大阪府立大学 2
姫路工業大学 1
学習院大学 1
北里大学 2
慶應義塾大学 9
上智大学 1
立教大学 1 1
中央大学 1
東海大学 3
東京理科大学 8 1
東邦大学 3
星薬科大学 1
早稲田大学 12 1
明治大学 1
名城大学 4
岡山理科大学 1
＊その他 3 1 1 3 6 6
計 586 17 14 16 17 17 17 17 27 30 24
＊外国の大学等
3-5-2 総合研究大学院大学二専攻
総合研究大学院大学は，１９８８年１０月１日に発足した。分子科学研究所は，同大学院大学に参加し，構造分子科 学専攻及び機能分子科学専攻を受け持ち，１９９１年３月には６名の第一回博士課程後期修了者を誕生させた。なお， 所属研究科は２００４年４月より数物科学研究科から物理科学研究科に再編された。
その専攻の概要は次のとおりである。
構造分子科学専攻
詳細な構造解析から導かれる分子および分子集合体の実像から物質の静的・動的性質を明らかにすることを目的と して教育・研究を一体的に行う。従来の分光学的および理論的な種々の構造解析法に加え，. 新しい動的構造の検出法 や解析法を用いる総合的構造分子科学の教育・研究指導を積極的に推進する。
機能分子科学専攻
物質の持つ多種多様な機能に関して，主として原子・分子のレベルでその発現機構を明らかにし，さらに分子及び 分子集合体の新しい機能の設計，創製を行うことを目的として教育・研究を一体的に行う。新規な機能測定法や理論 的解析法の開発を含む機能分子科学の教育・研究指導を積極的に推進する。
大学開設以来の分子科学２専攻の入学者数，学位取得状況等及び各年度における入学者の出身大学の分布等を以下 に示す。
担当教員（２０１３年１２月現在） 単位：人
専 攻 教 授 准教授 助 教
構造分子科学専攻 8 6 16
機能分子科学専攻 8 8 19
計 16 14 35
在籍学生数（２０１３年１２月現在） 単位：人. （年度別）
入学年度専攻 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 計 定 員
構造分子科学専攻
５年一貫 0 0 2 0 1 2 4 9 2
博士後期 0 0 0 1 0 4 1 6 3
機能分子科学専攻
５年一貫 1 1 1 2 2 2 0 9 2
博士後期 0 0 0 0 4 5 4 13 3
学位取得状況 単位：人. （年度別）
専 攻 1991 〜 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
2013
（9 月修了者まで） 計 構造分子科学専攻 80(11) 3 7 5 5(1) 7 5 2 2 6 3 125(12) 機能分子科学専攻 65(10) 5(4) 4 5 1 4 3 5 1 3 3 99(14)
（ ）は論文博士で外数
入学状況（定員各専攻共６） 単位：人. （年度別）
専 攻 1989 〜 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 構造分子科学専攻 105 7 8 11(1) 8(1) 5(1) 5(3) 5(1) 1(1) 6(2) 5(4) 機能分子科学専攻 95 6 7 4 5(1) 5(2) 7(2) 4(2) 6(2) 8(2) 4
（ ）は５年一貫で内数 定員は２００６年度から各専攻共５年一貫２，博士後期３
外国人留学生数（国別，入学者数） 単位：人
構造分子科学専攻 機能分子科学専攻
1989-2011 年度 2012 年度 2013 年度 1989-2011 年度 2012 年度 2013 年度
中 国 22 3 2 7 1 3
フランス 1
ロシア 1
バングラディッシュ 6 2
インド 1 1 1
チェコ 1
韓国 2
ナイジェリア 1
ネパール 2 3
フィリピン 2
ベトナム 2
タイ 2 2
大学別入学者数 単位：人 大学名等
構造分子科学専攻 機能分子科学専攻
計 '89 〜 '11 年度 '12 年度 '13 年度 '89 〜 '11 年度 '12 年度 '13 年度
北海道大学 2 2 4
室蘭工業大学 1 1 2
東北大学 1 1 2
山形大学 2 2
筑波大学 1 1 2
群馬大学 1 1
千葉大学 5 3 8
東京大学 7 9 16
東京農工大学 1 1
東京工業大学 2(2) 3 5(2)
お茶の水女子大学 4 1 5
電気通信大学 1 2 3
横浜国立大学 1 1
新潟大学 1 1
長岡技術科学大学 1 1
富山大学 1 1
福井大学 1 1
金沢大学 2 3 1 6
信州大学 3 1 4
岐阜大学 1 1
静岡大学 2 1 3
名古屋大学 2 1 7 10
名古屋工業大学 1 1
豊橋技術科学大学 5 3(1) 8(1)
三重大学 1 1
京都大学 13(1) 16 29(1)
京都工芸繊維大学 1 1 2
大阪大学 5 4 9
神戸大学 4 4
奈良女子大学 1 1
鳥取大学 1 1 2
岡山大学 3 1 2 6
広島大学 1 3 4
山口大学 1 1 2
愛媛大学 2 2 4
九州大学 3(1) 2 5(1)
佐賀大学 1 1
熊本大学 3(1) 3(1)
鹿児島大学 2(1) 2(1)
琉球大学 1 1
北陸先端科学技術大学院大学 4 3 7
奈良先端科学技術大学院大学 1 1
東京都立大学 3 3
名古屋市立大学 4 4
大阪市立大学 2 2
大阪府立大学 2 2 4
兵庫県立大学 2 1 3
姫路工業大学 1 1 2
石巻専修大学 1 1
いわき明星大学 1 1
青山学院大学 1 1
学習院大学 4 2 6
北里大学 1 1
慶應義塾大学 1 5 6
国際基督教大学 1 1
中央大学 1 1 2
東海大学 1 1 2
東京電機大学 1 1
東京理科大学 3 1 4
東邦大学 1(1) 2 3(1)
日本大学 2(1) 2(1)
法政大学 2 1(1) 3(1)
明星大学 1 1
早稲田大学 3 4 7
静岡理工科大学 1 1
名城大学 3 3
立命館大学 1 2 1 4
龍谷大学 1 1
関西大学 1 1
甲南大学 1 1
岡山理科大学 1 1 2
福岡大学 1(1) 1(1)
放送大学 1 1
＊その他 34(2) 4(1) 1 24(3) 3 3 69(6)
＊外国の大学等
（ ）は５年一貫で内数
修了生の現職身分別進路（２０１３年１２月現在） 単位：人
現 職 身 分 構造分子科学専攻 機能分子科学専攻 合計
教 授 9 9 18
准教授 22 8 30
講 師 3 4 7
助 教 15 13 28
大学・公的機関等研究職 25 25 50
民間企業 29 22 51
その他 23 19 42
計 126 100 226
3-5-3 オープンキャンパス・分子研シンポジウム
２０１３年５月３１日（金）午後〜６月１日（土）午前まで分子研シンポジウム２０１３を開催し，引き続き１日（土） 午後に分子研オープンキャンパス２０１３を開催した。本事業は全国の大学院生，学部学生及び若手研究者を対象に， 分子研で行われている研究内容を分かり易く解説することにより，共同研究の機会を拡大するとともに，総合研究大 学院大学の物理科学研究科を担う教育機関であることについても，外部の方々に広く認識していただくことを目的と している。２００８年度からその名称をオープンキャンパスへと変更している。４月からホームページで告知を始め， 広報を通してポスターを大学関係者に送付し，掲示を依頼した。分子研シンポジウムは本年度が７回目になる。分子 研関係者，総研大卒業生を中心に４研究領域から推薦された７名の先生方に講演をお願いした。参加登録者数は，所 内は掌握していないが，所外からは５４名であった（オープンキャンパス・分子研シンポジウムいずれか一方のみを 含む）。参加者構成は，沖縄から東北まで，学部学生１６名，大学院生３０名，教員・研究者６名，民間２名であり， あわせて合計５４名であった。所内からも多くの参加を得た。
参加者数まとめ
学部学生 大学院生 教員・その他 民 間 合 計
東 北 1 1 0 0 2
関 東 10 19 2 2 33
甲信越 0 0 1 0 1
東 海 1 0 1 0 2
近 畿 2 10 1 0 13
九州・沖縄 2 0 1 0 3
合 計 16 30 6 2 54
3-5-4 夏の体験入学
２０１３年８月 ５日（月）から８日（木）までの４日間，分子科学研究所において，第１０回総研大夏の体験入学を 開催した。本事業は，他大学の学部学生・大学院生に対して，実際の研究室での体験学習を通じて，分子科学研究所（総 研大物理科学研究科構造分子科学専攻・機能分子科学専攻）における研究環境や設備，大学院教育，研究者養成，共 同利用研究などを周知するとともに，分子研や総研大への理解促進を目的としている。本事業は，総研大本部から「新 入生確保のための広報事業」として例年，特定教育研究経費の予算補助を受けており，総研大物理科学研究科の主催 行事として２００４年から毎年開催している。広く全国の大学に広報活動を行い，参加者を募集したところ，定員を上 回る応募を受け，選考の結果，２８名の学生に参加いただいた。実施スケジュールは以下のとおりである。
８月５日（月）：オリエンテーション，UV S OR と計算科学研究センターの見学
. 交流会
８月６日（火），７日（水）：配属研究室にて研究体験 ８月８日（木）：体験内容報告会
参加者の内訳，体験内容，受入研究室は以下の通りである。
所属 学年 体験内容 対応教員
1 京都大学大学院 修士２年 光で分子を回してみよう！ 大島 教授
2
東 京 工 業 大 学 大学院
修士２年
磁気共鳴法・磁性測定による機能性材料の電子状態（磁性・伝導性） の観測
中村 准教授
3
東 京 工 業 大 学 大学院
修士２年 有機トランジスタ 山本 教授
4
東 京 工 業 大 学 大学院
修士２年 膜タンパク質の分子機構に赤外分光計測で迫る！ 古谷 准教授
5
東 京 工 業 大 学 大学院
修士２年 光を使って分子を制御しよう 大森 教授
6 福島大学大学院 修士２年 固体 NMR を用いた生体分子の構造研究に関する体験 西村 准教授 7 静岡大学大学院 修士１年 原子や分子の光電効果，理論計算による帰属を体験してみよう 小杉 教授
8 東邦大学 学部４年 有機半導体セキシチオフェンの合成 鈴木 准教授
9 日本大学 学部４年 クラスター触媒を用いた反応の一例を体験 櫻井 准教授 10 金沢大学 学部３年 多孔性と π 共役を兼備する分子 江 准教授 11 東京大学 学部３年 分子動力学シミュレーションを学び体験する 奥村 准教授 12 東京工業大学 学部３年 金属酵素モデルを用いた酵素研究の体験 藤井 准教授 13 城西大学 学部３年 Pt ナノ触媒を用いた水中でのアルコール酸化反応 魚住 教授 14 城西大学 学部３年 有機金属クラスターを合成してみよう 村橋 教授 15 京都大学 学部３年 金属タンパク質を対象とした研究を体験してみよう 青野 教授 16 慶應義塾大学 学部３年 ナノの金属ロッドを作って波動関数を見る 岡本 教授 17 東北大学 学部３年 超高真空中での磁性超薄膜の作成と in.situ 磁化測定 横山 教授 18 京都大学 学部３年 分子動力学シミュレーションを学び体験する 奥村 准教授 19 高知大学 学部２年 有機 E L 素子の作製と発光測定 平本 教授 20 東京大学 学部２年 レーザーから発生する光パルスの測定 藤 准教授 21 横浜市立大学 学部２年 タンパク質で生物時計を作ってみよう 秋山 教授
22 東京大学 学部２年 計算化学のハッキング体験学習 柳井 准教授
23 鳥取大学 学部２年 タンパク質で生物時計を作ってみよう 秋山 教授 24 東京大学 学部２年 金属酵素モデルを用いた酵素研究の体験 藤井 准教授 25 上智大学 学部２年 有機 E L素子の作製と発光測定 平本 教授 26 慶應義塾大学 学部２年 有機金属クラスターを合成してみよう 村橋 教授
27 東京理科大学 学部１年 金属錯体で学ぶ人工光合成 正岡 准教授
28 徳島大学 学部１年 フロンティア軌道理論と量子化学計算 江原 教授
3-5-5 総研大アジア冬の学校
２０１３年１２月１０日（火）から１３日（金）にかけて岡崎コンファレンスセンターで「総研大アジア冬の学校」が 開催された。総研大・物理科学研究科では，研究科内の５専攻で行っている研究・教育活動をアジア諸国の大学院生 及び若手研究者の育成に広く供するために，２００４年度よりアジア冬の学校を開催してきた。分子研（構造分子科学 専攻・機能分子科学専攻）での開催は今回で１０回目である。アジア諸国から定員を大幅に超える応募を受け，書類 選考の結果，１７名を受け入れた。その国籍別の内訳はタイ６名，インドネシア４名，シンガポール３名，中国２名， ベトナム１名，マレーシア１名である。また，E X O D A S S 招聘留学生が１２名，日本国内からの参加者が１４名あり， 講師を除く参加者は合計４３名であった。今回は，テーマを“ Innov ati ons. and. C hal l enges. i n. M ol ecul ar. S ci ence:. F rom. B asics.to.C utting-edge.R esearches” とし，分子科学の基礎から最先端にわたる講義を行った。参加者によるポスター発表， E X OD A S S 招聘留学生によるミニシンポジウムも行われた。プログラムの詳細は下記のとおりである。
December 10
14:00-17:30: Registration 17:30-19:00: Welcome Reception
December 11
9:30-11:00: Prof. Tetsuro Murahashi (IMS)
Organometallic Complexes of Transition Metals: Structures and Reactivities 11:00-11:10: Break
11:10-12:40: Prof. Tetsuro Murahashi (IMS)
Organometallic Complexes of Transition Metals: Structures and Reactivities 12:40-14:00: Lunch
14:00-17:30: EXODASS mini-symposium 17:30-19:00: Poster Session
December 12
9:30-11:00: Prof. Hiroshi Yamamoto (IMS)
Organic Field-Effect-Transistors: Its mechanism, application and recent advances 11:00-11:10: Break
11:10-12:40: Prof. Hiroshi Yamamoto (IMS)
Organic Field-Effect-Transistors: Its mechanism, application and recent advances 12:40-14:00: Lunch
14:00-14:45: Mr. Shangbin Jin (SOKENDAI/IMS)
Large Pore Donor–Acceptor Covalent Organic Frameworks and their Charge Transfer and Separation Events 14:45-15:30: Mr. Kenji Mochizuki (SOKENDAI/IMS)
A new molecular level insight into how the hydrogen bond network is disordered in homogeneous ice melting 15:30-15:35: Group Photograph
15:35-15:45: Break
15:45-17:15: Prof. Takuya Nagasaka (National Institute for Fusion Science) Development of Low Activation Vanadium Alloys for Fusion Reactor 17:30-19:00: Banquet
December 13
9:30-11:00: Prof. Masahiro Ehara (IMS) Quantum Chemistry for Excited States 11:00-11:10: Break
11:10-12:40: Prof. Masahiro Ehara (IMS) Quantum Chemistry for Excited States
3-5-6 広い視野を備えた物理科学研究者を育成するためのコース別教育プログラム
２００９年度に文部科学省事業の「組織的な大学院教育改革推進プログラム」として総合研究大学院大学物理科学研 究科の大学院教育改革推進プログラム「研究力と適性を磨くコース別教育プログラム」が採択され，３年間のプログ ラムとして，２０１１年度まで実施された。分子科学研究所が直接関わる構造分子科学専攻，機能分子科学専攻を含む 物理科学研究科では ,. 物理科学の学問分野において高度の専門的資質とともに幅広い視野と国際的通用性を備えた， 社会のニーズに答えることのできる研究者の育成を目指した大学院教育が行われている。当該プログラムでは，本研 究科のこのような教育の課程をさらに実質化し，学生の研究力と適性を磨き，研究者として必要とされる総合力，専 門力，企画力，開発力，国際性などを身に付けさせることを目的とした。当該プログラムは２０１１年度をもって終了 したが，これを継続する位置づけのものとして２０１２年度から，特別経費（概算要求）事業「広い視野を備えた物理 科学研究者を育成するためのコース別大学院教育プログラム」を実施することとなった。これにはこれまでの物理科 学研究科に加えて高エネルギー加速器科学研究科３専攻の参加を得ることとなった。
上記の目的のため，博士課程前期における大学院基礎教育の充実とともに，博士課程後期におけるコース別教育プ ログラムを実施している（本プログラムの概要スキームを図に示す）。物理科学研究科及び高エネルギー加速器科学 研究科の大学院教育が行われている各基盤機関では，国際的に最先端の研究プロジェクト，大規模研究プロジェクト， 企業との開発研究プロジェクトなどが数多く推進されており，本プログラムは，このような優れた研究的環境を最大 限に生かした教育の実質化を目指している。国外の最先端研究室等へのインターンシップを体系化し，広い視野と国 際性を涵養する取組も行っている。また，両研究科所属の各専攻を擁する基盤機関は国内外に分散しており，それゆ えに他専攻の授業を受講することは従来困難であった。本プログラムでは両研究科所属の大学院生が幅広い物理科学 の素養を得られるべく，複数の研究室を短期間体験するラボ・ローテーションを実施し，また共通専門基礎科目の e- ラーニング化とその積極的活用により専攻間の縦横な授業履修を可能としている。すでに２０１１年度から分子研所属 の構造分子科学専攻，機能分子科学専攻の e- ラーニング授業が配信されている。また学生が主体で企画運営する物理 科学学生セミナーなど，積極的な取り組みが行われている。
本プログラムは研究科の枠を越え総研大全体に波及する教育プログラムとなったことから，履修規程や単位認定方 法などの実務的作業・調整が進められ，２０１３年度から本格的に研究科を超えたプログラムとして運用している。
3-5-7 統合生命科学教育プログラム
総研大では文部科学省・特別経費の支援によって，２０１１年より４年間の予定で分野 ･ 専攻横断型の「統合生命科 学教育プログラム」を開始し，講義を２０１１年１０月から行っている（http://ibep.ims.ac.jp/index.html）。
２０１３年度の本プログラムの活動を以下に要約する。 (1) 講義
講義は原則英語で行われ，遠隔地講義配信システムを利用して現地，遠隔地専攻に差がなく受講できるようにして いる。科目数は前年度８から今年度１１に増加。「機能生体分子科学」の代わりに「構造生体分子科学」，新たに「基 礎生体科学分子」，「生物情報学」，「生命起源論」を加えた。
(2) 「学生企画型共同研究（IR C .g rant）」
本企画は大学院生自らが創造性にとみ，分野横断的かつ専攻をまたいだ共同研究を企画，遂行するもので，将来の 研究費申請のシミュレーションでもある。今年度の採用は３件であった。研究成果は２０１３年度生命科学リトリート
（ヤマハリゾートつま恋）で発表された。
(3) 統合生命科学サマースクール（岡崎統合バイオサイエンスセンター，本プログラム，新学術「動的秩序と機能」（代 表加藤晃一教授）共催）
本年度は機能分子科学専攻の加藤晃一教授がオーガナイザーで「生命システムの動秩序」というタイトルで 8 月に 開催された。海外を含め多くの参加者があり，また若手からの活発な議論があり盛会であった。
本プログラムの提供する講義に機能・構造分子科学専攻の大学院生の参加が少ないのは残念である。本プログラム では豪華な講師陣が興味深い講義をしており，聴かないのはもったいないと思うことがしばしばである。ちょっと窓 を開けて外の景色も見てみてはいかがでしょうか。
